温暖化で変わる雪壁の位置

ヒマラヤ専門ガイド 浅原 明男

2014年06月03日 16:57

(アイランドピーク登山をもとに記載)

2つの写真を見比べてください!
共にアイランドピーク頂上直下の雪壁を撮影したものです。


※ 10年前の雪壁


※ 2014年4月撮影

上段の写真は・・・10年程前の様子。 下段は2014年4月に撮影されものです。

少し撮影した場所は異なりますが・・・
写真の中で、雪壁登攀を行っている場所に目を向けて頂くと、上段の写真に比べ下段の写真では・・・
雪壁登攀の位置が(写真右側へ)大きく移動しています。より頂上へ近い場所へ移動

これは雪壁を安全に登るために、途中に支点(ロープのつなぎ目)を作るためで、硬度な氷または締まった雪がある場所が必要になるからです。
 
温暖化の影響により以前に比べ、登攀位置が随分頂上よりに移動しています。
結果、以前に比べ、雪壁の斜度がきつくなり、長いルートを登っていることになります。

登攀位置が移動することにより、装備(ロープ、アイスバー、アイススクリュー等)の量などが大きく変わります。また装備を運ぶ、スタッフの数にも影響します。

登山は自然を相手にする素晴らしいスポーツです。自然的なことでも、安心して確実な登頂に繋がるよう、事前に十分な対策をとって頂きたいと思います。

ちなみに、以前は1時間にわたる雪壁登攀が終わると、一息つける場所があったのですが・・・
今はそのスペースも無くなってしまい、ナイフリッジの稜線だけとなってしまいました。



By ヒマラヤトレッキング専門 サパナ


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